第二十一話

第二十一話


国際情勢を書いている関係上、明らかに現実と違う情勢が書かれていますが、それは本作がフィクションであり現実の世界と何らかかわりがないためであるとご理解ください。

言い訳完了w



 いろいろとカットしたモノや政府の意図は反映されることになったが、NH○の特番が放映された。
 特地関連の情報番組で、構成としては政府公報+特地の状況+そして政治暗闘等々。
 ほぼ休日の半日を特番に埋められる中で、二時間枠が俺の特番らしい。
 その中では、さすがに専用機持ちたちへの説教はカットしていたが、一夏君がPTSDを発症していたことや、その対応で俺が走り回っていたことなどは盛り込まれた。
 これに対してIS学園への風当たりは猛烈なモノになり、状況を許した国際IS委員会への批判は集中した。
 加えてコメンテーターが銀座祭りの際の国際IS委員会による独善を再燃させ、視聴者の敵愾心を集めたりなんかしたわけだが。
 このヘイト行為になんの意味があるかというと、簡単な話であった。
 そう、多夫多妻結婚法案で隠れてしまった話を再燃させようと言うのだ。

 日本IS学園、というか日本SD学園。

 既に自衛隊のSD準備部隊が自衛隊内で入学希望を募っているし、各国からSD教育環境構築の際には留学をという希望まで集まり始めているネタなので、それはそれは熱い盛り上がりを見せている。
 加えて、ISのように国際IS委員会なんていう珍妙キテレツな利権集団など噛ませるつもりはなく、まさに「日本」という学校名で示される範囲で運営しようと言うのだ。

 そう、「日本」。

 日本国という国家に対して友好的な国には十分な配慮をしますよ、とにこやかな首相の顔を見れば様々な外交交渉を行うと宣言しているようなもので。
 これにいち早く反応した某国は「日帝による世界掌握の悪事が行われようとしている。日帝からISとSDの権利を世界が奪うべきだ!」などと公式発表をしやがった。

 これに対して世界は無視しなかった。
 いや、いつものように流さなかったと言い換えてもいい。

・実に不快な公式発表だと認識する。国家としてこのような発言を認めることは出来ない(中国)
・国家が持つ権利を偏見で奪うと自らで宣言するなら戦争行為と判断できる国家間交渉だが、他国を巻き込んで漁夫の利を得ようとする愚かしい行為には激しく嫌悪を覚える(台湾)
・当事者同士ならまだ傍観できるが、歪んだ自国の見解を我が国を含む他国を巻き込む形で声明を出してしまう非常識さが信じられない。(フランス)
・貴国の声明は見苦しく対応するためのチャンネルすら不快だ。二度と我が国を巻き込まないでいただきたい(ドイツ)

 ・・・・まぁ、国連参加国の92.5%までが直接の非難声明を某国に送りつけ、さらに、UN議会での議事提出があった場合、某国をUN参加国から排斥するとまで証言が揃えば、もう前にも後ろにも行くことは出来ないだろう。

 そう、それほどにSDの存在は魅力的なのだ。

 今まで通りの平常運転で日本を攻撃して溜飲を下げようとしていた某国外相は驚きで声をなくし、即時に何かの間違いではないかとか、おかしなメールの返信があったが本当のことかなどと内容確認を行ったのだが、すべて国家のお墨付きの返答内容であることが確認できた時点で外相は自殺した。
 責任問題を指摘された某国大統領は逆ギレして大騒ぎになり、資格停止や裁判沙汰が起こされたわけだが、そのバックグランドで日本に各国へ取りなしてくれと泣きついてくる行動は、まさに平常運転。
 彼らの認識では、某国が頭を下げたのだから日本は従うはずであった。

 しかし、日本は断った。
 そう、正面から断ったのだ。
 加えて、このような要請がありましたが、日本という国はそのような要求は受け付けませんと、全部晒したのだ。

 非常に驚いた某国。
 そして某国民の多くは日本人を斜め下に見ている気性をなぜか持っているため、そんな屈辱的交渉をなぜしたのか、恥はないのか、自国の品格を捨てて金を取ったのか、と暴動が発生。
 現在停止されている大統領が復職できるはずもなく、最高権力者のない某国は、国内不満を海外に向けることも出来ずに暴動の嵐に見舞われることになったのであった。

 で、ここで某国の国民気性が大いに暴走するのだが、一部それを利用するために動く官僚もいる。

「我が国の混乱の原因は日本にある。即座に責任と賠償と謝罪をしろ」

 強気な交渉を好み、相手に優位に立っているという理由を一つでも見つければ相手を踏みつぶすことに明け暮れる某国人。
 勝った、そう感じていたらしいが、日本側はにこやかにこう言ったそうだ。

「日本からの情報があることが貴国の混乱の原因でしたら、情報回線及び通信回線、交通回線や交流のチャンネルすべてを閉ざしましょう。ああ、これで貴国は日本に影響されない健全な国になりますよ」

 船舶・航空に代表される交通網。
 情報・通信・データ送受信などのネット網。
 テレビ・ラジオ・無線通信機などの外信網。
 そのすべての接触を切り離す。
 そう、いわばこれは断交である。

 何の脅迫か、と叫びをあげた某国外相であったが、日本はにこやかなままであった。

「ことある事に既に存在しない『日帝』の陰謀だと騒ぎ立てさせて国内不安のすべてを日本に押しつけている貴国がなにをおっしゃるのですか? 既に存在しない国だからと言う理由で言いたい放題出来るとお考えですか? 我が国がどれだけ不快に思っているか少しでも考えましたか? ああ、もちろんそんなことを考えないで良い自由を行使しているのでしょう。ですから、日本もその権利を行使します」

 というわけで、某国は地続きの北と海を隔てた日本とに挟まれた戦時緊張国となった。
 この影響は即座に為替に現れ、公定歩合が急変。
 某国紙幣は一気に紙屑へと転落。
 まだジンバブエドルのほうが価値があるとまで言われるようになってしまった。
 自称IT立国の凋落は急激に発生して確実なものとなった。
 これは日本との関係悪化が要因ではある。
 しかし、間違いなく、今まで世界に対して喚き続けた汚物の飛散による世界全体との関係悪化が原因であることは間違いない。

 


 国内交通網の表記や宿泊観光施設の案内表示から某独自文字が消えてゆく中、日本国内での某国人テロが徐々に始まった。
 手に入れられる材料が貧弱であることから、大型の爆弾テロなどは行えないのであるが、嫌がらせのような爆弾モドキテロが横行していたりする。
 銀座○ーソンのトイレにも結構仕掛けられていることが多く、モードやアルちゃんが排除していることがよく見られる。
 つうか、アルちゃんあたりは「直感」で判るらしく、トイレから出てきたところで取り押さえて所持品と指紋採取、そして偽造パスポートなどを没収して交番に放り込むという行為をしている。
 なんで判るのかな、と聞くと、

「・・・奴らの体臭は独特です。あと特地民をみる視線が冒涜的ですね」

 奴隷や下民を見る目で彼女らを見るので、一目でわかるという。
 警察で分析した爆弾っぽいモノは火災を起こす程度のモノばかりだとか。
 それでも大騒ぎではある。
 定期的にテロ物資「収納」をしているのだが、それでも止めないあたり病んでいるとしか言いようがない。
 つうか・・・

「偽造パスポートで入国できすぎでしょ、太郎閣下」
「あー、アホな野党議員の影響だな」
「つるしましょ、マジで」

 デュヘインと、俺がポーズすると、ため息の太郎閣下。

「議員の名前を公表したら、たぶん、国際的交流の自由を阻害されたとか言って自殺するぞ。その実、トカゲのしっぽきりで」
「で、あれですか。国民の自由の権利を侵した、総理大臣の責任だ、ですか?」
「ああ」
「政党党首の責任が先でしょう? 国家の不安定要素を招き入れている国賊って」
「本気でつるされるとか思ってねえんだわ」

 不快で深いため息の俺と太郎閣下。
 本気で閣下のブレーンしてるわ。

「とりあえず、ションベン刑でも何でも良いですから、警察に家宅捜索させて脱税とか使途不明金だとかの名目で立件して、国会証言したところで今回の件をつっこみましょう」
「別件すぎるだろ?」
「アホなバカを押さえられなかったって責任を政党参加議員全体で支払うか、首をおとなしく吊させるかえらべって突きつければ、簡単に馬謖を切ってくれるでしょ?」

 泣くかどうかはしらないけど。
 泣いて馬謖を切る、なんて言葉はあるけど、基本的には「しっぽきり」。

 で。

 それから三日もせずに、第二政党の某議員が逮捕された。
 証拠不十分で保釈されるだろうと某第二政党広報は話していたが、逮捕二日目で流れが変わった。
 そう、国内で捕縛され続けている某国人テロの入国を手引きしていた疑いがあると発表されたのだ。
 一気に世論は加速した。
 テレビメディアはたたくことに集中。
 週刊紙なども過去にさかのぼって痕跡のあら探し。
 が、一部メディア、というか○HKが自主取材のみで語った。

 現在行われている某国人テロの実状。
 発生件数や犯行内容なども含めたところで、こう纏めた。

「テロというのはテロル、恐怖による支配を語原としていますが、この犯行群は恐怖というよりも『嘲笑(ridicule)』と言う方がふさわしいのではないか」

 この放送を見ていたおれは、○HKではなくBBCの番組かと思いました。
 まぁ、何というか、煽り耐性がないのだろう。

 この放送後に○HK関連施設へ押し入って暴れる自称日本人が多数逮捕され、偽装日本人であることが判明。在日であるという自称もあったが、元々は不法入国者の末裔であるという政府認識もあるため、物凄い勢いで国外退去になっていった。
 拘留しても拘留費用の方がもったいないので、日本国内から出て行ってください、そして二度と来日しないでください、と政府公報が言い切ったところ、内閣支持率が大規模にあがったのでした。

 


 日本SD学園の立ち上げ準備への協力要請が俺のところにもきた。
 SD開発スタッフの一人でありつつ、日本国内でもっとも話の通じるSD開発者、ということになっているそうだ。

「勝手に看板に使わないでくださいよ、石動先生」
「あら、あの料亭会見に出席した時点で参加に判子を押しているのよ、風間さんは」
「しらねーし」

 と、本音の会話はさておいて、IS学園関係の騒動を切り修めたという事実があるので、対IS関係者用の脅しとして欲しい名刺なのだそうだ。
 加えて国際IS委員会の方でも俺を苦手とする空気があるそうだ。

「えー、っと何でですかね?」
「本気で聞いてますか、風間さん」
「・・・」

 心当たりは、ある。

 現状、政治勢力は「和製ジェームスボンド」をエンガチョ扱いしている。
 加えて、同性婚コミュニティー経由で、そっちの方面での発言力も認められている。 
 まぁ、SDの話だけであれば金で頬をたたけるが、それ以外の柵が重くてでかいという話だろう。
 現在の国際IS委員会が全て悪いといっているわけではないが、自分たちの権益を守ろうとして動いたことの大半がつぶされているし、その向けられた剣を俺所か束博士も持っていると考えれば、全く自分たちの話が通じないと理解する下地といえる。
 で、このほどのSD学園関連にはIS政治暗闘をしていた勢力を意図的に切り離しているという流れもある。
 つまり、これからの立場を考えれば、国際IS委員会でございます、と名札をつけているだけで不利といえるのだ。
 というか、そういう世界に転がした。 

「日本SD学園を設立後まで面倒をみろとかいいませんが、せめて名誉理事とか襲名してください」
「えーっと、所々の事情と進退を鑑みまして、周辺状況の調整の上検討させてください」
「あらあら、ずいぶんと遠回しな言い回しを」

 おほほほほとかいわれたが、その目は肉食獣の目ですよ、ええ。
 絶対に周りを埋めてかかってくるんだろうなぁ。
 本当に政治家は怖いです。

 

 ひっくりがえす方向性がないわけではない。
 というか、正直、ものすごく簡単な方法がある。
 ただし、それをやると、絶対に後悔する方向で話が進むのが間違いなくわかるのです。
 そんな話をアルヌスの酒場で話していると、レレイが小首を傾げた。

「フーには権力も発言力もある。なにを躊躇する?」
「権力と発言力があるからって世界が自由になる訳じゃないのは、向こうもこっちも同じだよ」
「亜神であるフーがままならぬ世界か、恐ろしいものだな」
「ヤオォ、俺人間」
「「「「「ないないない」」」」」

 特地民どころか自衛官まで一緒になって!!

「ひどい、ひどいわぁぁぁ」
「大丈夫よぉ、フー。私は眷属にしてあげるからぁ~」
「それ、ぜんぜん大丈夫じゃありません事よ!! ロォリィさん!!」
「フー、口調変になってるよ?」

 あー、いかんいかん、取り乱してしまった。

「で、どんな反則があるんすか、風間さん」

 あ、最近、かなり男ぶりがあがって特地女性や自衛官女性からガンガンアピールされてるのにデリラだけだから、おれ、とか言ってさらに好感度をあげてる一夏君だ。

「ちょ、ちょっと、風間さん、その話は関係ないでしょ!?」
「まぁ、直接は関係ないけど間接的にあるかな?」
「え、風間さんの卑怯技に俺関係するんですか?」
「まー、なんつうか、てこ?」
「まさかの踏み台宣言!!」

 うん、明るくてノリがよくて気遣いができて。
 いい男捕まえたな、デリラ。

「へっへっへ~、うれしいこと言ってくれるから、皆にビールサービスしちゃうぜぇ!!」

 ごちでーーーーすと大盛り上がりの酒場であったが、そこから逃げようとした俺の襟首が捕まれた。
 なんと一夏君、流されていませんでした。

「とりあえず、なんかして俺に影響があるなら一言教えてくださいよ」
「んー、黙っていられる?」
「拷問されてもしゃべりませんよ」

 まぁ、今の一夏君なら大丈夫か。
 というわけで、最後の手段を耳にささやくと、彼は真っ青になっていた。

「・・・え、まじですか?」
「うん、まじ。束さんもしってる」
「ちなみに、その方法って束さんも知ってるんですか?」
「知ってるけど自分にはできないって言ってたな」
「・・・そうっすか」

 がっくり肩を落とす一夏君。
 まぁ、巻き込めるんだけどね。
 言わないけど。

「そりゃ、影響ありますよ、ええ、絶対」
「でも、それをすると、世界がまたひっくりがえるからなぁ」
「戦争前夜っすね」
「まーねー」

 だからできない。
 やってはいけない。
 やるのならば、一生向こうの世界に関わらない決意をしないといけない。

「ま、花火を打ち上げるなら一報くださいね」
「おう、新生織斑家の迷惑にはならないように考えてから動くよ」

 軽く手を挙げてその場をさる。
 あとでロゥリィたちから勝手に帰ったと怒られたのは、まぁ笑える話の範囲だろう。




現実にある某国と、本作内の某国は何らかかわりがありません。
ありませんよ? w