第十八話

第十八話


えー、年末年始企画あっぷはここまでw



 とりあえず、いろいろと有名になったので正面切って銀座門から出てみた。
 山盛りの報道陣、が居ないわけでもないのだが、それを押しやるように皇宮警察が輪を作り、その中心に陛下が居たりするのはどうしたものか。

「ヘイカー、てみあげですー」
「お納めください」

 テュカとヤオがきれいな布袋に入れたものを、侍従にわたし、それを受け取る陛下のうれしそうな顔が印象的で。
 その光景を望遠レンズで取材陣が連写しまくり。

「どういうこった?」

 こそこそ現れた太郎閣下が俺に耳打ち。

「ああ、うちのエルフ娘たちって、陛下とメル友なんだそうですよ?」
「マジか?」
「まじです」

 日々のメール交換で特地の植生や通常生物の分布なんかの情報をやりとりしているそうで。

「陛下も新しく論文をお書きになると言う話ですよ」
「・・・マジか?」
「まじっす」

 生涯一研究者でありたい、という夢があるそうで、来年あたり生存退位を目指すとかなんだとか。

「そのへん、太郎閣下にお話がいきますよ、多分」
「・・・・・・まじかよ」
「おおまじっす」
「そろそろ俺、鎌倉の老人役が出来そうなコネ掴んでんだけど」
「政治家家業が楽しいうちは無理じゃないっすか?」

 そう、太郎閣下は今が一番脂がのりきった時期だろう。
 思う形の日本が思うように進められる。
 少子高齢化に歯止めがかかることが約束されていて、教育関連予算と福祉予算増額が決定しているのにびくともしない国勢。
 西洋先進諸国が夢見る環境だろう。

「・・・まぁな」

 苦笑いで頭を掻く姿も様になっていて、何割かのカメラが太郎閣下をとらえて・・・、と。

「何があった、風太郎」
「狙撃っすね」
「くそ、まだ警戒がたりねぇってか」
「いや、持ち込みじゃなくて、手製ですね」
「おいおい、まじかよ」
「もの作り環境は世界一ですから、日本」
「あー、めんどくせーなー」

 空を見上げる太郎閣下であるが、手元のスマフォで次々に指示をとばしてゆく。

「ああ、そうだ。俺の子飼いが見つけた。・・・(どこだ?)、@@ビルの屋上にまだいる、そうだ」

 警備の一部がゆっくりと、それでいてものすごい早さで分かれてゆく。
 周辺から押しつぶすように検挙しにいくんだろう。

「しかしまぁ、日本でテロ活動とか。まったく隣の国はアクティブすぎるテロ支援国家ですねぇ」
「・・・まさかキムチ臭い話か?」
「ええ、半島南がまた英雄を作りたかったみたいですよ」
「こりゃ、内閣動かすしかねーか」
「つうか国交切りましょうよ」
「本当におまえって半島嫌いだな」
「クリミアみたいに住民の大半がロシア親派っていうなら大国ロシアも支援しますけど、あの国は9割反日ですよ? かばう言われもないですってば」
「しかしなぁ、今まで投資した外交資産つうものがあってだなぁ」
「それをひっくりがえして嘘ついてばっくれるのがあの国でしょ。対米ドルスワップでいくら持ち逃げされたと思ってるんですか」

 以前。某国が必要ないということで契約を切った対ドルスワップ。
 じつは精算されず持ち逃げされたドルがものすごい金額になっているのだ。
 これに味を占めた某国は、ふたたび持ち逃げ目的でスワップをしたいようなことを言っているそうだが、さすがに日本も応じておらず。
 これに対して某国内では、真の友人ならば困っているときに手をかしてくれるはずだとか、日本はすぐ我々を裏切る、とか調子のいいことを言っているという。

「また、調子のいいことを国民に言わせて調子の乗った政府が踊ってるだけなんですから、ちょっと冷や水浴びせるべきでしょ」

 今回の狙撃犯のDNAマップを公開して、国民的なDNA平均を比べてみれば判る。
 どこの国の人間に一番近いか、と。
 どう考えても火病の生産地に違いない。
 これに対しての対応は予想出来る。
 日帝の陰謀だとか、金銭ロビー活動による日帝の罠だとか、我が国を世界に的な窮地に陥れるための謀略だ、とか。

「そりゃ、おめーさん。毎度のことだから賭にもならねーぞ」

 白騎士事件以降、ISの開発は我が国で行われたとか、コアの精算設計書は我が国にあるとか飛んでも発言をしていて。
 じゃぁつくってみろ、と各国から言われると逆ギレ。
 そして国内世論を先導して大騒ぎ。
 各国大使館への襲撃や座り込みが行われて、暴動騒ぎが毎日のように行われたことは記憶に新しい。

 特地の銀座門に関しても、本来であれば我が国の首都に開かれるはずのものが日本に奪われたとか発言したため、非常に冷たい視線でUN議会が溢れたのだが、某国大使は全く気にする様子もなくつばを飛ばして大騒ぎ。

 この流れでみて、さらに今回の事件が明るみにでれば某国からの宣戦布告といって過言無い状態であると言い切れるだろう。
 ゆえに、断交は正しい選択肢の一つとみられる。

「さすがに国民の支持があるとは思えないぜ」
「いやいやいや、『自分たち以外が敵に違いない、特に日帝』とか思ってるバカどもは、絶対に日本を征服してやるとか言い出すに違いないですよ?」

 まぁ、どうであれ、そこまでゲートが欲しいならあけてやっても良いぜ?
 もちろん、あの特地じゃないけど。

 ・・・あの蟲蟲天国なら、世界が祝ってくれるだろうし。

 

 なんつうか、日本、変わったわぁ、と鈴が呟く。
 昼休みにテレビを見ながらの話だった。

「あれよ、あれ。同性出産。箒の姉さんもものすごいこと研究してたのね」
「・・・すまん、鈴。私は全く知らないのだ」
「いやいやいや、責めてるんじゃなくて。正直、少子高齢化を斜め上からたたき伏せる発明だって、本気で感心してるわよ」
「・・・そうか、姉に会えたら言っておこう」
「うん」

 そう、同性出産手法の研究が進み、ほぼ治験?のレベルにきているというニュースをみて、大いに関心が食堂を席巻した。

「・・・まぁ、一夏のほうも大変みたいだけどね?」
「言わないでくれ」

 そう、俺の方も大騒ぎであると自覚がある。

「一夏、背後には気を付けるんだぞ」
「・・・はい」

 いわゆるところ、俺は唯一のIS男子であり。
 子孫研究の観点から女性から子種をねらわれ続けてきたのだが、昨今の同性出産研究の影響で男子同士の方が研究面でも興味深いという謎意見が世間をにぎわし、我こそは織斑一夏の伴侶という宣言をする「男性」でIS学園正門があふれた。

「自分、異性愛者なんで」「研究のためだから、愛なんてなくていいから!!」

 てな話が世間をにぎわしているため、外に出ることも出来ない。
 まじでIS適正があるせいでIS学園から出ることも出来ないと言うジレンマに陥っている。
 ああ、あああああ、まじで束さんを恨んじゃうかもしれない。
 そんな風にぐるぐるしていた俺だったが、ニュースに移った銀座門をみて思った。

「・・・俺も特地にいきたい」
「「「「「一夏」」」」」

 千冬姉は逃亡中、風間さんにたよって特地に行ったそうだ。
 向こうは未だ地球側の常識に染まりきっていないので、千冬姉ものびのび出来たとこの前聞いた。
 未だIS学園に復職はしていないけど、女権団系議員の石動議員と組んでいろいろとしているらしい。
 女権団というと過激派を思い出すけど、石動議員の派閥がどういう目的なのかはこの前聞いた。
 嘉納先生とも友好があるそうで、政治的なパーティーも合同ですることが少なくないそうだ。
 女権団過激派が信奉する千冬姉と嘉納先生が握手している写真は「合成だ」とか「贋作だ」とか「CGだ」とか騒ぎになったが、間違いなく現実。
 その場に俺もいたし。

 IS学園でも世間でも追いつめられて、病人のような顔色になっていた千冬姉があそこまで回復した特地。
 心底いきたいと感じてしまっている。

「なぁ、箒」
「なんだ、一夏」
「俺、特地いけないかな?」
「行くのは可能だろう。嘉納先生や姉さんのコネを使うことは出来る。しかし、未だ何もなしていない一夏が何かを望むとき、一夏の持つ何かが失われることを覚悟するべきだろうな」

 含蓄に溢れたせりふだった。
 さすがいろいろと世間と世界に揉まれているだけのことはあるなと思わされた。

 そんな思いで見ているテレビの画面は、再び銀座門。
 天皇陛下と特地のエルフが交流しているのを映し出している。
 その背後には嘉納先生と風間さん。
 思わずISのネットワーク機能でメールを送ってしまった。
 瞬間、何かに気づいたような仕草の風間さんが、懐からスマフォを取り出す。
 ちょっと目を見開いて、そしてにやりと笑った。
 さささっとフリック入力したあと、俺のスマフォが鳴った。
 急いで中身をみると・・・

「保護者に相談せよ、か」
「え、まさか本気で嘉納先生に相談したのか、一夏」
「いや、風間さんに」
「ば、馬鹿かおまえは!!」

 ごつごつと拳でたたかれながらも、俺は千冬姉にメールを認めるのであった。

 

 さすが姉弟というかんんというか。
 織斑家の姉に続き弟も追いつめられているそうだ。
 メンタル面が弱いのは遺伝だろうかと思ったが、逆に考えてみれば恐ろしい話だ。
 なにしろ束サンの同性出産を使って一夏君と男性でBLチックな出産をさせようと言う手勢がIS学園に押し寄せているというのだから。
 IS適合者という男性と我が国の優秀な男性の遺伝子があわされば、みたいな馬鹿な話が盛り上がっているそうだ。
 つうか、勝手に盛り上がって盛って押し寄せて、と。

 一夏君はIS学園に雪隠詰め。
 そのストレスを思うと同情的になってしまう。

「というわけで、風間(はにー)。何とか頼めないか」
「千冬サン、妙な呼び名をまずやめてください」
「堅いことを言うな」

 にこにこ顔の千冬さんは、最近外出で顔を隠していない。
 自称婚約者がいるので、と突っぱねることができるようになった影響だというのが彼女の主張。

「迷惑ならそういってくれ。そういえなくなるようにするから」
「明らかに拳系の説得ですよね?」
「ふふふ」

 なんだか不穏なせりふだが、幸せそうな顔が怖い。

 現在宿泊中の政府系ホテルロビーで、千冬さんからの呼び出しがあり、特地組監視の中で、俺・千冬さん・束さんの三人が会談。
 ちょっと離れたところでNH○がドキュメント撮影しているという話。

「ちーちゃんも元気になれて良かったね」
「元凶がうたうな」
「いやぁ、愛が溢れちゃった」

 こんな会話に陰が出なくなったのだから、やはり精神の安定は必要だったのだろう。

「で、だ、風間。一夏の一件、引き受けてもらえんかな?」
「向こうは向こうで政治的な色合いが濃いですけど、いいんですか?」
「まぁ、ゼロではないがな。しかし一番旗色が強い防衛色も、伊丹夫婦のおかげか温いし、な」

 いろいろと思いだしてか、結構深みのある顔色になっている。

 そう、伊丹夫婦。
 実は案お二人、離婚寸前だったそうだ。
 原因は、まぁ、いろいろ。
 喧嘩したとか浮気したとかではない。
 どちらかというとリサさんの「乙女」が暴走して妄想して爆発寸前だった、らしい。
 が、何かを踏みとどまった後、リサさんも特地で働いているうちに色々と悲壮に思いこんでいた全てが溶けてゆき、最後の最後で妊娠。
 一転して母性全開となり、周囲の日本人および特地住民全てを羨ましがらせるレベルでラブラブハイレベルになってしまった。
 現在、アルヌスは緩い恋愛ブームで種族を越えた関係も推奨されているとか。
 実にファンタジック。

「・・・あのぉ、千冬さん。もしかして一夏君にアルヌス嫁を、とか考えてません?」
「・・・一夏をデリラが気に入っててなぁ」
「まじ? ウォーリアバニーを紹介っすか!?」
「え、ええええええ! ちーちゃん、うちの箒ちゃんは、箒ちゃんはぁ!?」
「大丈夫だ、束。一夫多妻もOKだろう?」
「・・・はぁぁ!? えぇ!? まじまじまじぃ!?」

 すげーぜ、千冬さん。
 この光景、NH○が撮影中なんだぜ?

 思わず脱力した俺に、陰からADがメモを渡す。
 こっそり見てみると・・・

『異世界お見合い、撮影許可を願います!!』

 そのまま千冬さんにスルーすると、にっこり微笑んでカメラに向かってグッドサイン。
 撮影スタッフは大いに沸いたのであった。

「(すまん、一夏君。君の平安は特地にもありませんでした)」




気が向いたら続きを書きますw