短編 風間風太郎の教師生活 その8

短編 風間風太郎の教師生活 その8


割と気に入っているシリーズです。w



 キティと共に全国行脚した影響か、俺とキティとの仲が学園全体の公認状態になってしまった。
 嫌ではないのだが、私生活の段階で彼女が隣に居ないと別れたのかとか勘ぐられるのはどうかと思う。
 実際、新田先生おごりで呑みに行ったら、一時間ちょっとで店から追い出されてしまったのは行き過ぎではないだろうか?

「風間先生は愛されてるなぁ」
「行きすぎですってば、これ」

 笑うほか無い。
 思わず肩をすくめた俺と新田先生だが、まぁ、話に乗っておこうということで帰ってみたのだが。

 

8.風間風太郎の協資生活

 

「「「「「おかえりなさーーーーーい」」」」」

 なぜか、わがクラスの生徒達の大半が俺の家に居た。
 何事かいな、と驚いたが、キティも苦笑い。

「「「「「じつは・・・」」」」」

 曰く、恋愛関係のご相談ということでキティ詣にきたそうだ。
 いろいろとテンパッてる神楽坂はさておいて、
 切実な相談の中心は、基本的に色事。
 つうかデートでどこまで許すか、であった。
 このへんを赤裸々に語り合っていたので、まったく免疫の無い神楽坂がオーバーヒート。
 はじめから付いて来れない系は来ていないそうだ。
 そういう意味では、マグダウェルは付いて来れない系換算らしい。

 で。

 どこまで許せるかという話で、大きな指針があるとキティは語る。

「言葉を飾らずにいえば、セックスは究極のところ『こづくり』だ」

 産まないならするな、産めないならするな、育てられないならするな、捨てるならするな、と語る。

「結婚をし、仕事を持ち、収入があって子供を育てる環境が揃っているならまだしも、気持ちいいとか彼の機嫌をとりたいとか、そんな流れでセックスをするなど言語道断だ」

 まぁ、500年ものの貞操観念だが、俺も間違っていないと思う。
 肉体関係は結構前から結んでいるが、本格的な関係は就職後だしな。

「えー、でもぉ」
「私の話は古臭く堅苦しいものだ。聞き流すのもいい。しかし、お前達が妊娠して誰に一番迷惑がかかるかを真剣に考えるのだ」

 たとえば、過去の農村のような「乱婚」のようなシステムがあるなら問題は無いだろう。
 生まれた子供はみんなの子供、みたいな環境であればまだいい。
 そういう環境は幼い頃から社会構成員として成り立っているはずだし。
 そうでもなければ中高生で出産はありえない。
 せめて高校卒業してから考えろ、と。

「「「「「・・・」」」」」

 育ちのいい系女子は、結構重い表情。
 自分をディスカウントしたければどうぞ勝手にすればいい、と軽やかなキティ。

「せっかく美人に生まれたのだ。高く相手に売りつけねば大損だぞ?」

 その点私は、と俺を見て微笑んだ。
 俺も答えて微笑む。

「先生という立場じゃなく、風間風太郎、として言わせてもらうと・・・」

 男の性欲は「排泄」と同等だ。

「「「「「・・・」」」」」

 もの凄い冷たい視線を感じたが、現実を語る方がいい。

「気持ちよくしたいとか、気持ちよくして上げたいとか、いろいろと言ってくるが、基本的には思春期の男なんて『出したがり』の猿だ」

 その証拠とは言わないが、たぶん、この生徒の中でも男子とつきあっている女子はいるだろうが、

「デートを重ねる度に肉体的接触が増えてきて、キスをしたとたん肉体関係を求められた、というところだろ?」

 何人かが視線を逸らした。
 うん、わかりやすいなぁ。

「男にとって初体験なんて通過儀礼の一端だ。しかし女子は違う」
「・・・センセは処女至上主義なの?」
「違う。処女も非処女も関係ないが・・・」

 性交自体を軽く考えること自体に件をしているだけだ。
 そう言いながら、俺はキティの隣に座る。
 きゅっと腰に手を回して抱き寄せてから生徒達をみる。

「予想できているだろうが、俺はキティと性交してる」
「「「「「・・・」」」」」」
「初めて結ばれたのは、大学在学中で、そのあと中退をするつもりだったが、キティに止められた」

 あのときは情けなかった。
 自分にはかなりの資産があるから、子供が出来れば生むし、育てるのさえ手伝ってくれればいい、と言ってくれたのだから。

「・・・必死に勉強した。絶対に幸せにするんだって」

 で、その勉強集中であえる時間が減り、わりと何度か別れたりくっついたり。
 でも、すべてはキティとともにあるための時間だったと今ならいえる。
 まぁ途中、ふつうの女性とおつき合いしたこともあったが、貞操観念で衝突して別れることしばしば。
 やっぱ世間と合わないと実感したもので。

「親に支えてもらってる立場で性交はないって思ってたから、キティの前につきあっていた女子から思いっきり振られてなぁ。目の前で浮気されて、詰られて、うん、まじで死ぬかと思った」

 その後、キティに拾われたのだから、人生なにがあるか分からない。
 その後につきあったこともある女性の大半は、キティから男を奪った、みたいなトロフィーがほしかったのだろうと後で分かった。

「俺にとっての答えがお前達の最善になるかは分からない。行く末がお局になるかもしれない。でも、俺は思う。一番大好きな人と結ばれるために処女はとっておけって」
「・・・風太郎、とりあえず、私は処女だっただろ?」
「だから大学中退して就職をって思ったんだよ」
「「「「「・・・」」」」」

 というわけで、俺とキティの経験談でした。
 いろいろと彼女たちの中での相談があると言うことなので、深々と頭を下げた少女達は去っていった。

 

 この話、実は麻帆良女子中学どころか高校まで話が広がってしまった。
 誠実だという話もあったが、今時の高校生にしてみれば「おあずけ」決定ルートであると血の涙を流して悔しがる程で。
 なぜか男子高校部の生徒指導室に呼び出されてしまった。
 ムセカエるような青春臭をタギらせた男子高校生が数十人もいると目がしみるほどで。
 彼らを相手している葛葉先生の忍耐力が知れる話ですよ、ええ。
 この部屋の外にも生徒があふれており、視線には怨念のような何かをたぎらせているのであります。

 彼らの主張としましては、
 ・男への風評被害がひどい。
 ・その責任は風間風太郎にある。
 ・悔しいので女を紹介しろ。

「と言うことだよな? つまりやりたがりの猿」
「「「「「あんたはあんな美人としてるからって、そりゃねーだろ!!」」」」」
「あのなぁ」

 基本、性交は契約だ、と説明した。
 素人さんと性交すると言うことは、相手の人生を縛ると言うことだ。

「「「「「え?」」」」」

 怒りの感情が吹っ飛ぶ勢いで惚けた男子生徒達。

「生物学的に言えば、性交は子孫繁栄のための行為であり、神話的に言えば儀式魔法の一端だ」

 生物的な面で言えば、卵子と精子による細胞分裂連鎖作用。
 神話的な面で言えば、父親と母親による子供の魂を召還するための儀式魔法。

「お前達の中に、父親となる覚悟と準備が出来ている者はいるか? 収入を得て、生活を整えていて、産まれてくる子供のために環境を整えている者はいるか?」
「「「「「・・・」」」」」

 視線が一斉に逸らされた。
 まぁ当然だ。
 高校生の段階でそこまで出来ていれば、この場にいるはずもない。

「妊娠中、母胎に負担がかかるが、その負担を軽くするためにどんな知識が必要か、考えたことがあるか?ホルモンバランスが崩れ、不機嫌を爆発させる女性を愛せるのか?出産という難事に挑む女性への尊敬の念があるのか?」

 声もなく押し黙る男子。

「・・・まぁ、理性で言えばそう言うことだがな。結局は金玉が重くなるし、夢精とか正直鬱になるしな」
「「「「「そう、その話が重要っす!!」」」」」

 やっと耳が痛くない話が聞けたと視線を集中させた男子生徒達を見て、俺はほほえんだ。

「まぁ、俺として生徒に許容できるのは、三つだ」
「「「「「(ごく)」」」」」

 一つ、自分で処理する。
 安くて軽くて簡単だ。
 二つ目、我慢して夢精に任せる。
 わりとハードな夜になるのでお勧めはしない。
 三つ目は・・・・。

「ソープでも行って、金で処理しろ」
「「「「「え、それ、いいんですか?」」」」」
「性犯罪者になるよりましだろ?」
「「「「「えええええええええ」」」」」

 もの凄い視線が俺に集中している。
 つうか、途中から入ってきた葛葉先生がもの凄い怖い視線で俺を見ています。

「愛のない行為なんて自慰同様の排泄行為だ。それを自分の彼女にやらせる? おまえらはヨイヨイの爺か。排泄行為(う○こ)ぐらい自分で何とかしろ。他人にやってほしければ愛を語らず商売にしてる人に金を払ってお願いすればいい。排泄行為(う○こ)を他人に任せる要介護者だって言ってな。そうすれば子孫繁栄も儀式も関係ない。ただし、その行為自体は女性から忌避される行為だと言うことを忘れるなよ?」

 呆然とする男子生徒達を後目に俺はその場を去ったのだが、後日、男子高校の教員達からもの凄い抗議が殺到してきてしまった。
 風俗に行けと教師が指導するなんて、と。
 体育会系教師がスポーツで発散しろとか言っていたので、とりあえず正面対峙。

「つまり、性の暴走は運動で解消できる、と?」
「私はそうやって指導してきている!」
「ですが、先日私は、お宅の学校の生徒に呼び出されて、生徒同士でセックスできるように取りはからってくれと交渉を持ちかけられましたが?」
「そんなのは生徒の一部だ!」
「その生徒の一部が暴走して性犯罪に走った場合、責任はどこにあるんですか?」
「犯罪は本人の責任・・・」
「逃げるんじゃねーぞ、このおっさん」
「なんだとぉ!!」

 怒りにふるえた体育会系教師が俺を殴ったところで、周囲の教員が止めに入ったが、どちらかというと、もっとやれと言う視線で体育会系教師をちら見して笑っている。

「・・・あなたの教育方針からすると、性衝動は運動で散らせるということですので、それを実践していただきましょう」

 ずびっとバルタンピースを体育会系教師の目の前にたてた。
 何事か、と周辺教師は眉をひそめたが、体育会系教師は放心している。
 瞬間催眠成功、である。

『ソナタは、以降、勃起は出来ても射精を出来ず。勃起を納めるためには、論理的に運動をシなければならない』

 力ある言葉で暗示をかけたところ、はっと自分を取り戻した体育会系教師。

「つうわけで、暗示をかけましたので、実践してください」

 

 一週間後、我が家の前で股間をギンギンにしたまま土下座をする体育会系教師がいましたとさ。
 もちろん、尻をかしてくれと土下座しに来たわけではないので、その辺を理解するように、腐女子部。




性交渉に対する意識は、非常に難しい話ですので、ファンタジーの事だと受け流していただけると幸いです。