激闘!円卓の十二騎士編 第護話 怒りの拳

激闘!円卓の十二騎士編 第護話 怒りの拳


筆が乗ったので本日も投稿します

溜まっていた創作意欲と話が一気に溢れ出ているので零さないように書き記したいと思います


「なぜ……なぜなんですか父上!なぜ…!」

空我とギンガは、目の前で、起きた事が理解出来なかった

何故…彼女は仲間だったんだろ?

彼等の気持ちを他所に、トーマはマドラスに食ってかかる

マドラスはまったく問題ないような表情だった

「トーマ、奴は我等を裏切ったのだ…裏切り者には死を…当然の結末だろう」

「それでも…それでも…」

トーマは納得していない様子だった……が、その彼に変化が現れた

「ふっ!ぐぐ!ぐ…なんだ……これ!」

彼の体に、赤黒い模様のようなものが浮かび上がった

しかもそれは生きているように動いて、彼の体を侵食しているようだった

「おぉ!これは!漸く芽吹いたか…それほどまでに憎み、妬む感情を得たと言うのか…」

マドラスは歓喜に満ちた表情で彼を見ていた

一方の彼は本当に苦しそうだ

「なにを……俺の体に何をしたんだ!!」

立っていられなくなったのか、膝立ちで肩で息をしながらトーマはマドラスを睨んだ

「なにを?ククク、まぁ良かろう、教えてやろう。貴様は私の実験材料だったのだよ。正確には、そこで虫の息のリリィもそうだったがな」

その言葉にトーマだけでなく空我達も驚いた

と言っても、空我達はマドラスの非道性を知っていることからトーマ程の驚きはなかったが

「普通の魔法師に我が魔力を与えたらどうなるのかと言う実験だ。
結果、その魔法士に何が起こるのか?どんな反応があるのか?少しずつ、体が拒絶しないように少しずつ溶け込ますと言う長い年月のかかる実験だったが…なかなか面白い結果となったな」

マドラスはまるで籠の中にいる実験用のネズミを見るようにトーマを見た

一方のトーマは、まさに魔力に侵食されているらしく、身体中に浮かび上がる模様が赤黒く光、それが全身を埋め尽くすようになっていた

「が……あぁ……ぐああああああああああ!!」

そして、瞳から怪しい光を放ち、トーマは獣のような雄叫びを上げてマドラスに襲い掛かった

『ガイン!!』

トーマが振り下ろした手刀がマドラスの前に現れた何かに塞がれる

だが、その激突音は鋼鉄をぶつけ合わせたような音だった

「……貴様が前に出る必要はなかったのだぞ?ナイトオブワン」

マドラスはそう言って自身を纏ったナイトオブワンとそのスタンド、キング・クリムゾンを見た

「申し訳ありません…しかし御身に何があればと思いただ黙って傍観する事が出来ませんでした」

そう言うナイトオブワンだがその声は苦しそうなものだった

ナイトオブワン本人はトーマの攻撃を受け止めたスタンドと同じ左腕を力無く垂らしていた

「今の一撃でか?」

「はい、以前のトーマ様なら考えられなかった事ですが、スタンド越し左腕を折られました。恐ろしい力です」

その報告を聞いてマドラスはますます危険な笑みを浮かべた

「ククク、我が魔力が奴の肉体を侵食し…その身体能力を飛躍的に上昇させているということか…」

一方のトーマは魔力に操られているかのように、獣の雄叫びを上げて再びマドラスに襲いかかろうとした……だが…

「ダメ…トーマ……」

虫の息だったリリィが、近くに来ていたトーマの足を掴んだのだ

そして、そんなリリィの声を聞いたトーマは瞳に理性の光が少し戻り、少しずつ、倒れているリリィを抱き締めた

「……なんだと?」

暴走していたトーマを止めたリリィの存在に、マドラスは不快な表情をした

「トーマ……闇の力に呑まれちゃ……ダメよ……」

リリィもまたトーマを抱き締めるがその力はとても弱い

消え入りそうなほど、消えてしまいそうなほど、いや、もう消えかけている命の灯火を、必死に燃やしてリリィはトーマを止めようとしていた

「ゴフッ……トーマ……ごめんね……側で守ってあげれなくて……ごめんね…」

リリィはそう言って、目に涙を浮かべながらもトーマに口付けをした

その瞬間、眩い光と共にトーマの体を蝕んでいた赤黒い模様が消えていった

「……バカな…」

マドラスの言葉と共に、トーマの瞳に理性の光が宿った

リリィをそんなトーマを見て満足したのか、ゆっくりと瞳を閉じた

「………」

トーマは黙って彼女を優しく寝かせた

そして、転がっていた己の剣を手に取り、その瞳に怒りの炎を燃やしてマドラスに切っ先を向けた

「許さん……許さんぞ……マドラス!!」

その瞳から溢れた涙を拭うこともなく、トーマは剣を握り締めてマドラスに向かった

「くだらん…」

マドラスの冷たい一言と共にナイトオブワンが自身のスタンドでトーマの腹を殴りつけ、その体をリリィが倒れているところまで飛ばした

「やはりしっかりと殺しておくべきだった…あの女は拾った時に殺しておけばこんな事にはならなんだのにな…」

「どう言うことだ!」

「貴様の両親を、いや、貴様が住んでいた場所を消し去ったのは我なのだよトーマ…ちょうど新しい力を試したくなってな、その為の実験場だったのだあそこは…。そして貴様とリリィが生き残り、先程言った実験の素体として気まぐれで拾ったのだ。
だが、貴様は我の魔力を少しずつ受け入れ、順応し始めたのに対して、奴は取り込ませた我の魔力を消滅させることが出来たのだ…」

初めて聞かされた事実にトーマが驚く

一方、空我はそれが原因で…とリリィが幽閉された理由が分かった

「実験のモルモットとして不完全なリリィは必要なくなったのでな、だが殺せば貴様に悪影響があると考えて幽閉したのだ。しかし、それをあの大道連夜の息子が連れ出した。今考えれば、貴様には黙っておいて殺しておいても問題ない話だったな」

マドラスは笑う

一方のトーマはショックで放心状態には……ならなかった

「そういう事か…」

トーマは自嘲的な笑みを浮かべた

「全て騙されていたと…そういう事か…そしてリリィは、全てを知っていながら俺のために自分も残って…そして自分が離れてしまったから……あそこにいる奴らを使って……そういう事か……」

壊れたように、トーマは静かに笑う

「壊れたか…」マドラスがそう呟いた

が…トーマはその瞬間に笑み消し、その顔から、その体から憤怒のオーラと表情を放ってマドラスに迫った

その速度は、あまりの早さにナイトオブワンガ反応が遅れ、マドラスの自動防御の結界が無ければマドラスも反応できないほどであった

が、止められた

トーマの怒りと憎しみとマイナスの感情の全てを注ぎ込んだ一撃は止められたのだ

そして、マドラスすら反応できないほどのスピードだ

それが何の鎧も纏わず、ましてや先程の体を蝕んだ魔力のダメージが残った状態で無事で済むだろうか?

答えは否である

結界に止められた手から、体から、顔から、トーマは血が溢れ出していた

「が……は……」

力無く下に落ち、マドラスの前に無様とも言える姿を晒す

マドラスは最早1mmの興味もないよう表情を見せ、トーマに向けて手をかざした

「一瞬で消しても構わんが…多少なりとも親子として暮らしたのだ…何も無い無の空間、そこでゆっくりと死ぬがいい…そこで転がる愚かな女と共にな…」

トーマはマドラスを見つめている

ただしその光は弱く、儚く消えていきそうな光だった

己とリリィの前にその無の空間に続いているのだろう…ワームホールのようなものが開いていた

トーマは己の力を振り絞って、向かった

リリィの隣に

最早まともに腕も足も動かない状況で、血反吐を吐きながら、彼はそのまともに動かない足と腕を動かして、亀よりも遅いスピードで、彼女の隣に向かった

「リリィ……ごめんよ……ごめんよ……」

浮遊感が襲ってくる

己の体がワームホールに吸い込まれていくと同時にリリィもまた吸い込まれた

「っ!!」

トーマは最後の力とばかりに飛び上がり、そして遂にリリィをその腕の中に抱き締めた

「もう……離れない……約束だ……」

最後にそう言って、トーマとリリィはワームホールの中に消えた

※※※※※※

空我side

目の前で起きた光景に、まだ頭が追いついていなかった

あの2人はどうなったのか?

リリィは死んだのか?

なぜ殺したのか?

マドラスの言葉を聞いても、空我には理解は出来なかった

「ん?おぉ、そう言えば居たのだったな、大道連夜の息子よ…そして、貴様も裏切り者の仲間入りか?」

そう言ってマドラスは俺とギンガさんを見た

多分、裏切り者ってのはギンガさんのことを言ってるんだと思う

「冗談じゃないわ…こちらの弱みもあったとはいえ、勝手に頭の中を弄っておいて裏切るも何も無いでしょう?私はもともと、貴方達の敵よ!」

ギンガさんはそう言ってマドラスとナイトオブワンに向けて構えた

「フン…誇り高きラウンズから裏切り者が出るとはな……この恥晒しめ!」

ナイトオブワンが自らのスタンドの能力を使ってあっという間に俺とギンガさんとの距離を詰める

だが……

「折れた腕の痛みが動きを鈍らせているぞ!!」

そう言って振り向きざまに放ったシェルブリッドがそこに居たナイトオブワンの腹部に突き刺さった

「ガッ!バカなーー!」

まともに食らったナイトオブワンは後方に吹き飛んだ

だが、その攻撃を当てたという結論が結果的に俺の隙になっていた

「ほう…腕を上げたようだな…大道連夜の息子よ」

俺の背後に、マドラスが立っていた

そして……

「なっ!」

「フン!!」

その一瞬の隙で、マドラスは片手の指を注射器のような形に変化させ、それを勢いよく俺の脇腹に突き刺した

「貴様も俺の実験の被検体となってもらおうか…」

その直後に体に激痛と、そして何かが体の中に入ってきた感覚が俺を襲った

「ぐっ!!がはっ!!ぐああああああああああ!!」

強烈な頭痛、そして意識が塗り潰されるような殺意、そして自分の体を蝕む強大な闇を感じた

「空我!いけない!!」

「邪魔をするな!」

ギンガさんが俺を助けようとしてくれたのだろう…だがその後に聞こえてきた音からマドラスの攻撃で近付けないようだ

痛みなどが襲う中、自分の心は意外と冷静だった

先程までは何も考えられないほどの精神状態だったのにも関わらずだ

それが何なのか、ふとそれを探せば懐で光り輝くエターナルメモリが目に入った

『空我…』

エターナルメモリの管制人格ではない別の音声…

意味不明な精神状態の中、その声は俺の目の前に人の形をして現れた

『空我…怒りに捕らわれるな…破壊の衝動に、破界の力に身を任せてはいけない……お前なら出来るはずだ…お前は世界を…世界を〇〇する存在なのだから…』

その声が、俺に力を与えてくれる

何をすべきか導いてくれる

誰なのかは分かりきっている

なぜこんな声が聞こてきたのかは分からない

だが、この怒りを、この痛みを、ただ敵に向けるだけのものにしてはだめだ

この暴れ狂うような闇の魔力をただ取り込んではいけない

己の力としろ!己の何かを目覚めさせる鍵にしろ!

それが俺には出来るはずだ!!

「ぐっ……おぉ………ぐぐぐ………シェェェェェェルブリッドォォォォォォォォオオオオ!!!!」

俺の拳が、俺の左腕が、その甲の閉じたゲートが開放され、あらゆる物質をアルター化して俺の力とする

俺の魔力へと還元する

それは命ある生物以外ならば俺が物質と思ったものは全て対象となる

この足元の床も、柱も、そしてこの体を蝕むマドラスの魔力も

「何もかもだ!全て、俺の力となれ!俺の糧となれ!俺の全てとなれぇぇぇぇぇ!!」

シェルブリッドと共に俺の体もまた黄金の光を放った

「なんだ!この魔力の量は!これ程の力を人間如きがコントロールすると言うのか!この俺の魔力さえも!」

マドラスが何かを言っているが関係ない

心はまるで澄み渡る水面のように……だが、この拳を烈火の如くふるう!

「マドラァァァァァァァァス!!」

そして、俺を蝕んでいた痛みが消えていく、全ての痛みが消えていき、そしてそれが全て俺の力として、俺の魔力として還元された

side out

※※※※※※

黄金の光に包まれた空我にマドラスは無意識にその足を1歩後ろに引かせた

それに気が付いた時、マドラスは己の行動に怒り、その顔を歪めた

「このマドラスが、無意識にも足を引いただと?無意識に後退を選んだと……巫山戯るな……親子揃いも揃って……ふざけるなよ!!」

マドラスの左腕が螺旋を描いてドリルとなり、光り輝く空我を襲う

だが、空我はそれを何も展開していない丸腰の右腕で受け止めた

その時、不思議なことが起こった

マドラスの攻撃を受け止めた空我の右腕が突如変化し、もう一つのシェルブリッドへと変化したのだ

更に、そのシェルブリッドを形成する鎧のようなものが彼の右腕を伝い、そのまま右足にも獣のような鎧が形成された

「なっ…くっ……小癪なぁぁぁ!!」

マドラスは今度は右腕でドリルを形作り、回転させて空我に襲いかかった

『バチィィィン!!』

しかし、そのドリルも今度は空我の左腕のシェルブリッドで受け止められた

そして、先程の焼き写しを見るように、左腕から筋のように伸びた鎧が彼の左足を覆い、右足の時と同じように獣のような鎧をそこに纏った

「何が……何が起こっているのだ…」

「マドラァァァァァァァァス!!」

そして、遂に空我の体から溢れ出る光が臨海を迎えた

爆発したようなその光の波が消えた先には…

黄金の獣を連想させる鎧を纏った空我が立っていた

その姿は、こことは違う世界で同じアルターとシェルブリッドを使う青年が辿り着いたシェルブリッド最終形態と同じ姿だった

「行くぞ……マドラス!!」

両腕を引いて構える

ただ相手を殴り倒す

その思いに答えるように、二対のシェルブリッドはその装甲を展開させ、両手の甲それぞれにあった開閉口が開かれる

そしてその開閉口はその力を奮うだけの力を主に与える為に再び周囲をアルター化させていく

それを全て二対の開閉口が吸い込み、取り込み、主の魔力として循環させる

シェルブリッドが光り輝く……つまり、チャージ完了の合図だ

以前のシェルブリッドよりも、より真っ直ぐに、より鋭利に伸びた背中の鞭が空我の体を浮かび上がらせ、マドラスへと向かうための推進力とする

「くらいやがれえぇぇぇぇぇぇ!!」

両の腕を突き出して、空我は進む

ただ真っ直ぐに、変化球など用いずに、ただ愚直なまでに、ど真ん中を突き進み、マドラスの無意識下での自動結界が音を立てて粉砕され、驚愕するマドラスの顔面にその拳は突き刺さった

「グニィィィィィギィグホォォォォ!!」

吹き飛んだその先で、ナイトオブワンがその体とスタンドを使ってまどを受け止めた

だが、そんな単純に止まるわけもなく、そのままフロアの端の壁まで吹き飛んだ

『ガラガラガラ』

瓦礫が崩れる音が響く

一方の空我は、その一撃で全てを使い切ったかのように、二対のシェルブリッドが震え、膝から崩れ落ちた

倒せた…とは空我も思っていない

ならばここは立っていなければならない

だと言うのに、彼の足は動かない

彼の自慢の拳もまた震えているだけで動かない

そのまま突っ伏してしまいそうな所を、ギンガに支えられた

意識も朦朧としている…だが、ここで意識を手放せば待っているのは死の可能性が大だ

そうしているうちに、マドラスとナイトオブワンが吹き飛ばされた端の壁が勢いよく消し飛んだ

其処には目に見える憎悪と闇のオーラを発するマドラスがいた

一方のナイトオブワンはダメージの蓄積が思ったよりも多かったのか、動けない様子だった

「許さん……許さんぞ!貴様ら全員皆殺しにしてくれる!!」

激昂したマドラス、普段の余裕ぶった雰囲気は其処に無かった

「くっ……くそ…」

ここにきて、空我の体を包んでいたシェルブリッドは七色の粒子となって消えてしまった

「立ち上がる力も使い切ったか…大道連夜の息子よ!」

ゆっくり、だが確実に向かってくる巨悪に空我は何の抵抗も出来ない

だが、そんな彼の体を寝かせ、彼とマドラスの間に立つ者が居た

「ギンガ……さん?」

ニコリと笑う彼女は決意を固めた顔でマドラスを睨んだ

「どけ…貴様は後で煮るなり焼くなり好きにしてやる…だからそこを退け!!」

マドラスはそう言って一気にギンガとの距離を詰めた

構えるギンガ、彼女に後退の文字はない…罪滅ぼしと、そして愛するあの人に顔向けできるような自分に戻るために…

「私は……逃げない!!」

「その通りよ姉さん!」

「私達も一緒です!!」

ギンガの言葉に、同意する声が帰ってきた

その2人は彼女の隣に立つと、彼女と同じように迫るマドラスに対して構えたのだ

「スバル!ティアナ!!」

その2人が並ぶ

かつて共に愛する人の訃報に悲しんだことを

そして、共に闇に落ちた2人が…

今はその瞳にあの頃よりも強いまばゆい輝きを灯して

「空我!すっかり見ない間に男の顔になったわね!でも、お父さんに比べればまだまだよ!もっと成長なさい」

「空我も男の子だね。そんな君の成長が見れて嬉しいよ。君のお父さんによく似てる…」

チラリと空我を見て、驚いている顔に2人は表情を綻ばす

そして、そんな空我を抱き上げる人が居た

烈火の将の遺伝子を受け継ぐ大道家の次女、ビアンカだった

「姉さん……スバルさん達が…」

よく見れば、バラバラになった全員がそこに居た

ビアンカは空我を抱き締めた、そして周りの妹達に言った

「撤退だ!」

『了解!!』

ビアンカ達はそう言って転移を始めた

空我は何かを言いそうになって、そして口を閉じた

ビアンカの悲痛な目が、彼を抱き締める手にこもった力に、彼女の心情を察したからだ

視界が歪む、転移が始まったのだろう

迫り来るマドラスと、それを阻むように立つギンガ達の後ろ姿に涙を零し、彼らは転移した

※※※※※※

「貴様らぁぁぁぁぁぁ!!」

己も転移して空我達を殺す、そんな簡単な結論にさえマドラスは辿り着けていなかった

そして、その殺意の対象は目の前の3人に移った

「「「ハァァァァァ!!」」」

突撃する3人

その3人の瞳を見た時、マドラスはその瞳の中に己の天敵を見た

『ガシッ!!』

急速に冷めた怒りは彼を冷静にさせ、そして迫っていた3人を拘束した

「これは!」

「離しなさい!」

「動けない!」

必死にもがく3人だが、マドラスは落ち着いた様子でその3人にあのタールを浴びせた

数秒としないうちに、其処にはブロンズ像になった3人が立っていた

「………そこで見ているのだろう?ナイトオブフォー」

マドラスが天井を見上げながらそう言うと、彼の目の前に空間モニターが現れた

『は、はい。マドラス様、何用でしょうか?』

「この者達を大道連夜の妻たちのブロンズ像がある場所に運んでおけ…一先の危害を加えることは許さん。分かったな」

『は、はい!』

酷く怯えながら、ナイトオブフォー、ベリアルは通信を切り、直後に3人のブロンズ像が転移された

「………」

マドラスは考える…なぜ殺さなかったのかと

なぜブロンズ像にして置いておくのかと?

「大道連夜……我が天敵にして我が生涯の敵よ……貴様が何処で見ているというのならば見ているがいい……貴様の息子達にはより一層苦行を与えてやる……地獄を見せてやる」

彼の頭の中でプランが組み上がっていく

その恐ろしい計画にマドラスは笑みを浮かべた

「立てるか?ナイトオブワン」

漸く意識を取り戻したナイトオブワンはゆっくりと立ち上がった

だが、その体は満身創痍と言ったところで、フラフラだった

「申し訳…ありません…マドラス様、御身をお守りする事も出来ず…」

そう言って頭を下げるナイトオブワンにマドラスは「よい」と言った

「貴様は勤めを果たしている…問題は無い」

マドラスはそう言ってナイトオブワンの怪我等を一瞬で回復させると、彼と共に転移した

※※※※※※

ここは、マドラスが無の空間と呼んだ場所

大気も、何も無い、ただ空間がそこにあるだけ

マドラスはそのようにこの空間を生み出した

だが、その空間は彼の思う無の空間ではなくなっていた

吹き荒れる風と、強い日差しの荒野

何処かの砂漠のような場所は、無の空間と呼ぶには違和感があり過ぎた

「…………」

其処に、倒れる1組の男女がいた

トーマとリリィ、マドラスによってここに転移させられてきた2人は意識を失い、倒れていた

『ザッ、ザッ、ザッ』

無数の砂を踏みしめる音をさせながら、その2人にゆっくりと近付く人物がいた

その者は全身を覆うローブを纏い、性別も年齢も判断出来なかった

「人間?こんな所に……何故?」

明らかに重症な2人を見たその者はローブを脱いでより重症なリリィをそのローブに巻くと、彼女の体を優しく浮遊魔法で浮かび上がらせ、体に負担のかからないように特殊な結界の中に包んだ

そして、重症と言えども見た限り死に至るような怪我ではないトーマをゆっくりと肩に担いだその人物は自分が元来た方角に歩いて行った

もちろん、彼の後ろを追うようにリリィを包んだ結界も宙を浮いて付いてきていた

ローブを脱いだことで全身が判明したその者の性別はどうやら男であるらしい

髪は腰まで伸びており、上は革のロングコート下はボロついてはいるがしっかりとした生地の服装をしており、その顔付きは初老の男性と言ったところだろう

そして風が吹き、男の髪が横に靡く

靡いたことで見えたその男のコートの背中が顕になった

其処には、何処かで見た覚えのあるエンブレムが刻まれていた




トーマが目を覚ました場所

其処で彼は記憶の中にしか無かった自然の景色を見る

そこで出会う謎の男…トーマが選ぶ結論は

次回 魔法戦士リリカルなのは the next 〜永遠の名を継いだもの〜

激闘!円卓の十二騎士編 第緑話 己の生きる道